わしらの時代にはな、コロナ禍という前代未聞の事態が起こってのう。
それまでの生活が一変してしまったんじゃ。
デジタル化が進んでおったし、気候変動も問題になっておったが、コロナがきっかけで、もう昔のやり方では通用せんようになったんじゃよ。
日本が世界をリードしていた20世紀のやり方は、21世紀に入ってからは通用せんようになってきたんじゃ。
昔はみんなで同じことをするのが強みだったんじゃが、今では多様性が求められておる。
- 言われたことを忠実に実行する
- ルールを守る
- 現場主義
- 完璧主義
- 既存のものを磨き上げる…
これらはかつては日本の強みだったが、今や柔軟性が求められる時代には、逆に弱みになってしまっておるんじゃ。
わしらが今、必要としているのは、変わりゆく世の中に対応できる「思考力」じゃな。
思考力の鍛錬と時代の要請

昔のようにただ知識を詰め込むだけではなく、自ら考え、創造する力が求められておるんじゃよ。
昔の製造業が盛んだった時代には、日本人の特性が大きな強みとなっておったんじゃが、今やデジタルとサービスが主流の時代には、その特性が足かせになってしまっておるのが現状じゃな。
- 多様性に対応できんこと
- 自分から新しい提案をするのが苦手
- 古いルールに固執してしまう
- 具体的なものばかりに目が行ってしまい、高度な抽象思考ができん
- 完璧を求めすぎて行動に移せんこと
- ゼロベースの思考が苦手
だというのは、今の時代には大きなデメリットじゃ。
わしは以前から「自ら考える力」をテーマに著作活動をしてきたが、この本も同様のことが言えるの。
知識力だけではなく、思考力を身につけることがこれからの時代を生き抜くためには不可欠じゃな。
思考力の重要性

知識力は確かに重要じゃが、一つの正解を求める過去の価値観に合わせたものじゃった。
しかし、思考力はそれとは異なり、変わりゆく環境に適応し、柔軟に対応する力を鍛えるものじゃ。
この本では、そうした思考力を全面的に伸ばすための方法を、わかりやすく地図にして示しておる。
読者諸君がこの本を通じて、自ら考える力を強化し、変化の激しい時代を切り開いていく手助けになれば、それに越したことはないじゃろうな。
心技体のバランスとビジネス能力

思考力がビジネスにおいてなぜ重要か、という問いに対してじゃが、それはもう読者諸君も感じておることじゃろう。
思考力とは、ビジネスや日常生活を円滑に進めるための地図のようなもの。どこへ行くにも方向を示してくれる大切なものじゃ。
わしら日本人には「心技体」という言葉があってのう、これは単にスポーツ選手や芸術家、プロ棋士のような特定の人だけでなく、一般の社会人や学生にも等しく適用できる概念じゃ。
ビジネスにおいても、技術的なスキルだけでなく、心の健康や体の調子も同じくらい重要じゃ。
知的能力の三要素

- 「体」
- 「心」
- 「技」
「体」については、健康が基本じゃな。
身体の健康は、どんな職に就いていようとも、あるいは仕事をしていなかろうとも、人としてこの世に生きる上で基盤となるもの。
日々の生活で意識しないことも多いが、健康を失って初めてその大切さに気づくものじゃな。
病気や怪我を避けることはもちろん、良い睡眠や適切な運動によって体を鍛え、仕事の能率を保つことも大事じゃ。
次に「心」じゃが、これは健全な精神状態を指す。
モチベーションや誠実さ、そして何よりも自分から動き出す能動性も、心の健康を保つ上で欠かせん要素だな。
最後に「技」じゃが、これは心と体の次にくる知的能力じゃ。
「頭を使う」能力とも言うべきもので、学んだ知識や経験を活かす力のことを指すんじゃ。
心と体が整って初めて、技が真に活かされるというわけだな。
これらはビジネスの実務において欠かせないものじゃ。特に、
- 変動性(Volatility)
- 不確実性(Uncertainty)
- 複雑性(Complexity)
- 曖昧性(Ambiguity)
を含む「VUCA」の時代においては、思考力の重要性が増しておるんじゃ。
知的能力の構成要素

では、この知的能力とは一体どんな要素で成り立っているのか?
「心技体」というフレームワークに当てはまるものはないが、多くの人が多くの視点からそれを語っておる。
ここでは、著者が定義する
- 「知識力」
- 「対人感性力」
- 「思考力」
という3つの要素を抽出しておこう。
「知識力」「対人感性力」、「思考力」というこれらの能力は、それぞれが独立しておりながらも、ビジネスの世界での実務においては、どれもが欠かせん重要な要素じゃな。
特に思考力は、今日のこのVUCAという、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が渦巻く時代において、その価値をより一層高めておるんじゃ。
このVUCAの世を生き抜くには、ただ情報を知っているだけでは不十分じゃ。
人との関わりの中で感性を磨き、それでいて柔軟に、かつ深く物事を考える力が求められておるのじゃ。
知識は古くなることもあるし、人との関係も変わりゆくもの。
しかし、思考力があれば、そんな変化にも対応できる。
そんな力を身につけることが、今の時代における、真の力と言えようじゃないか。
まとめと展望
わしらが直面しているのは、絶えず変化するVUCAの世じゃ。
この時代を生き抜くためには、知識を超えた思考力が求められておる。
心技体の調和を保ちながら、知識力、対人感性力、そして何より思考力を磨くことの重要性をさらに詳しく説いておる。
読者諸君、この本を読んで、自らの思考力を高め、変わりゆく世の中に柔軟に対応できるようになることじゃ。
それが、今を生きるわしらにとって、真の力となるのじゃよ。